2017年1月17日(火)  不妊治療全般

排卵誘発剤とは何?


卵子が卵巣から排卵するのを促進する薬を、排卵誘発剤と言う。一般には、月経不順・無月経・排卵障害が原因の不妊症治療に用いられる。また、排卵されている場合でも人工授精や体外受精の際、妊娠率を向上させる目的で使用される。

排卵を促す作用の他に黄体機能を高めて、低温期が長い・高温期への移行に時間がかかる・高温期が短い、といった基礎体温を安定させる目的でも使われる。

排卵誘発剤を用いて卵巣機能を補助することで、周期が整い卵がしっかりと育つ。それにより排卵回数が増し、排卵タイミングも分かりやすくなるため、妊娠する確率も上がるのだ。

排卵誘発剤の種類

排卵誘発剤は経口薬と注射薬の2種類があり、それぞれ目的によって使い方も変わる。

経口薬

・クロミッド(クロミフェン)

脳に作用して卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促す事で、間接的に卵巣内の卵胞発育を促進させる。

無排卵や無月経の患者さんのみならず、黄体機能不全・人工授精における妊娠率を向上させる目的など、使用範囲が広く、経口の排卵誘発剤で最もよく使用される。この薬は月経周期の5日目から、1日1~3錠を内服するというのが基本。

・セキソビド(シクロフェニル)

排卵誘発作用をもつ薬で、経管粘液減少や子宮内膜が薄くなるなどの副作用があるが、クロミッドよりは軽い。しかし、排卵誘発効果に関しても、クロミッドほど強くはない。

また、服用量は1日4~6錠と量が多く、7~10日間服用しなければならないため、患者さんの精神的な負担はクロミッドより大きい。


クロミッドやセキソビドにより卵胞が成熟しても排卵しない場合、黄体化ホルモン(LH)作用のある絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射することになる。さらに着床環境を整えるために、排卵後にも1日おきに数回、hCG注射を行うこともある。

注射薬

「ゴナドトロピン療法」があり、hMG(ヒト閉経ゴナドトロピン)とhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の2つの注射薬を併用する排卵誘発療法だ。

ゴナドトロピン療法は直接卵巣に働きかけ卵胞発育を促進させる。とても排卵率が向上する反面、副作用を起こす可能性高いため十分に注意が必要だ。

・hMG注射

FSHと同じ作用を持ち、卵巣に直接働きかけ卵胞を発育・成熟させる。経口の排卵誘発剤よりも強力で、使用目的により量も異なる。また、患者さんの病状・薬に対する感受性などにより、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用が生じやすいと言われている。

・FSH注射

hMG注射と同様。違いは、黄体化ホルモン(LH)をほとんど含まないか、全く含んでいないかだ。副作用も、卵巣過剰刺激症候群や多胎が発生する可能性がある。

ただし、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は黄体化ホルモン(LH)によって促進されるため、多嚢胞性卵巣症候群がある方にはFSH注射は有効とされている。

排卵誘発剤と併用して用いられる薬

・hCG注射薬

卵胞が十分な大きさに育つ時に増加する、絨毛性ゴナドトロピン(hCG)という黄体化ホルモン(LH)に相当する薬。排卵誘発剤と併用で用いられ、hCG注射薬後36~48時間で排卵が起こる。排卵誘発剤で卵胞を育てた後、より確実に排卵させるために用いる。

月経開始5(3~7)日目から、卵胞刺激ホルモン作用薬(FSH、hMG)を、毎日か隔日で注射を打ち、卵胞が成熟したら絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射する。さらに着床環境を整える目的で、排卵後にも1日おきに数回、hCGを注射する場合もある。

排卵誘発剤の副作用

副作用は体質的なものもあるのだが、一般的には、月経周期が不規則で排卵障害のある方に多くみられる特徴がある。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤による強い刺激によって、卵巣が徐々に大きく腫れていく状態。これを放置しておくと重症になってしまう。この副作用は全体の1〜2割ぐらいだ。

・発症しやすい方

卵巣過剰刺激症候群は、若くて卵巣の反応性が良い方・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方に発症しやすいと言われている。

・主な症状

腹部膨満感、下腹部痛、吐き気、嘔吐、体重の急増など。


上記のような症状が現れた場合、早急に担当医へ連絡し、対処してもらうことが大切だ。

多胎妊娠

クロミッドでは約4〜5%。注射薬としての排卵誘発剤では、一度に複数排卵が起こることも多いため、双子・三つ子などの確率は20%前後と高くなる。

その他

子宮内膜が薄くなる・経管粘液の減少・頭痛など

上記以外に、排卵誘発剤の副作用について誤解されている方がいる。それは「奇形を持った子供が産まれてくるのか?」ということだ。

排卵誘発剤は「卵巣を刺激する」が、「卵子には作用」しない。そのため、排卵誘発剤による奇形が起こることはあり得ない上に、報告もないのだ。

より妊娠しやすくするために

妊娠するためには、まずは、卵がちゃんと育って、排卵されなければならない。そして、排卵された卵子が精子と受精・着床することで妊娠が成立する。

妊娠しやすい時期は、排卵日の「2日前」「前日」「当日」「翌日」だ。
good timing
このタイミングを把握するために、下記の方法とともにタイミングを掴んで行っていく。また、病院であれば、エコーを使って卵胞の大きさを検査する方法もある。

基礎体温を付ける

妊娠するにはまず、基礎体温をつけることは必須だ。基礎体温を付けることで、自分の排卵日の予測をたてやすくなる。また、測定結果・体調・性交の有無もグラフに書き込むことで変化も分かりやすくなる。

尿検査・排卵検査薬

尿中の「LHサージの」分泌量を検出し、排卵のタイミングを把握する。「LHサージ」がみられたら、そこから約12〜36時間(ピークからは10〜12時間)以内に排卵が起きる。

妊娠を考慮した潤滑ゼリーの活用

頚管粘液は精子を卵管へ導き、卵子へと進ませる為に必ず必要なものだ。排卵日タイミングに性交を持ったとしても、頚管粘液が少なく濡れにくい体質は妊娠への可能性を大きく低下させる。

その為、フーナーサポート潤滑ゼリーなどの人工頚管粘液型の潤滑ゼリーを用いることで、膣内環境を弱アルカリ性化して、精子の活動をサポートするため、自然妊娠の確率を上げてくれるのだ。

潤滑ゼリーにおいて注意すること

膣内の酸性度を排卵日周辺日だけ弱める為、精子が生存しやすい環境にする「妊娠向けの潤滑ゼリー」を使用する事が自然妊娠の可能性を高める。

特に精子に問題がないのに、原因不明でなかなか妊娠できないカップルの多くが、この頸管粘液と膣内環境が原因だと言われている。

適切な潤滑ゼリーを使用することで自然妊娠の確率を高め、フーナーテストを良好に導くことが可能なのだ。

妊娠を目的とした潤滑ゼリーの選び方のまとめ

  1. 成分が弱アルカリ性であること
  2. 液体の硬さ(粘度が300以下であること)
  3. 浸透圧が頸管粘液と精液と同等に作られている
  4. 容器の形状

妊娠目的の潤滑ゼリーと一般的な潤滑ゼリーの違い

jelly_01・一般的な潤滑ゼリー
主に「濡れにくい」という女性が使う潤滑ゼリー。
スムーズな性交を求めるカップルがいるが、安価で、性風俗などに利用されるような潤滑ゼリーを使用することは、殺菌成分や防腐剤が多く、また滑りだけに重点が置かれている。
そのため、粘土が硬く、子宮口にフタをしてしまう。
jelly_02・妊娠目的の潤滑ゼリー
妊娠目的の潤滑ゼリーは、人工頸管粘液と同じ成分で再現され、精子を殺す成分は入っていない。
そのため、潤滑の役割を果たしながら精子を膣内で長生きさせ、活発に動き回れるために粘度も柔らかい。さらに、頸管粘液と同じ弱アルカリ性のため、膣内の酸性度を中和させ、吸い込むように子宮口に精子を導いてくれる。
妊娠目的の潤滑ゼリー
ph値 弱アルカリ性 酸性または中性
理由 精液や頸管粘液と同じ弱アルカリ性にすることで精子を元気に長生きさせるためだ。 性風俗などでの使用を目的として製造されていることが多く、抗菌作用が強く精子を弱らせる成分が配合されている。
粘度 柔らかい(粘度300未満) 一般的に硬いものが多い
理由 精子が膣内で自由に泳ぎまわれる為 滑りを目的として製造されている為
浸透圧 精液と頸管粘液の浸透圧の差を無くす浸透圧を採用 記載なし製品が多い
理由 精子が子宮口に入り込むために最も重要な精液と頸管粘液との間に「液体の壁」を無くす為
容器形状 抗菌使い切りスティック ボトル、チューブボトルタイプ
理由 使用時の雑菌の繁殖を抑えるため1回づつの抗菌スティックで無菌状態が保てる為、成分内に保存料や抗菌剤がほとんど必要ない。 開封状態で手などに取って使用するため、雑菌が繁殖しやすいため、抗菌剤や保存料を多く使用する必要があり、結果、精子を殺してしまう。

 

huhner-support-03
妊娠目的の潤滑ゼリー

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